論文タイトル

回復期リハビリテーション病院における大腿骨近位部骨折術後患者の自宅復帰予測因子とカットオフ値

著者名:會田智美、高田満美、田邉遼、松本和之

  • 大腿骨近位部骨折
  • functional independence measure(FIM)
  • 自宅復帰
  • 回復期リハビリテーション
  • カットオフ値

発行日:2026/8/31

学会誌名:The Journal of Japan Osteoporosis Society

巻・号:Vol.12 No.3

抄録

目的:大腿骨近位部骨折(hip fracture:HF)患者の転帰にはさまざまな要因が挙げられている.本研究の目的は受傷前自宅で生活をしていたHF患者が再び自宅復帰を達成するための予測因子を明らかにすることである.

方法:自宅受傷例について患者背景および入退院時の運動項目FIM(mFIM),認知項目FIM(cFIM),FIM合計,その改善率や退院時室内移動能力について転帰を従属変数,2群間比較にて有意差を認めた項目を独立変数として多重ロジスティック回帰分析を行い,抽出された項目でROC曲線を作成しカットオフ値を算出した.

結果:男性9例,女性32例,平均年齢は83.8歳,73.1 %で自宅復帰が可能であった.入院時mFIM 52.2点,cFIM 23.8点,合計FIM 76.0点,退院時mFIM 74.4点,cFIM 27.5点,合計FIM 101.9点に改善し,改善率はmFIM 45.7 %,cFIM 7.8 %,合計FIM 31.8 %であった.2群間比較にて入院時および退院時FIM合計,mFIM,cFIM,退院時室内移動能力で有意差を認めた.そのうち,多重ロジスティック回帰分析で入院時FIM合計(オッズ比0.945,95 %信頼区間0.910~0.982),退院時歩行能力(オッズ比16.79,95 %信頼区間1.295~217.943)が抽出され,ROC曲線の結果は,入院時FIM合計AUC 0.835(95 %信頼区間0.697~0.973),カットオフ値73.5,感度73.3 %,特異度90.9 %であった.

結論:リハビリテーションを行っていく中でFIMは経時的に改善が期待され,退院時の運動能力が良好であれば自宅復帰が可能であることは想像に易い.自宅復帰を達成するカットオフ値が入院時FIM 73.5点であることから入院時評価から転帰の予測が可能であることは自宅復帰率の向上の重要な指標となる.