論文タイトル

大腿骨近位部骨折発生件数と都道府県別の骨粗鬆症検診受診率および骨粗鬆症マネージャー認定者数との関連

著者名:石橋英明、藤原佐枝子、三浦雅一、新井典子、竹内靖博、中村利孝

  • 大腿骨近位部骨折
  • 骨粗鬆症検診
  • 骨粗鬆症リエゾンサービス
  • 骨粗鬆症マネージャー

発行日:2026/8/31

学会誌名:The Journal of Japan Osteoporosis Society

巻・号:Vol.12 No.3

抄録

目的:大腿骨近位部骨折は多額の医療費・介護費を要し,社会的負担の大きい骨粗鬆症性骨折である.骨粗鬆症および骨粗鬆症性骨折を予防するために,国の施策としては骨粗鬆症検診が実施されており,日本骨粗鬆症学会は骨粗鬆症リエゾンサービスⓇ(OLS)を推進している.しかし,骨粗鬆症検診受診率やOLSを担う骨粗鬆症マネージャー認定者数には都道府県間の差がみられる.本研究では,厚生労働省のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)オープンデータを用いて,全国および都道府県別の大腿骨近位部骨折発生件数を推計し,骨粗鬆症検診受診率および骨粗鬆症マネージャー認定者数との関連を検討した.

方法:厚生労働省が公表した2014年度から2022年度までのNDBオープンデータを用いて大腿骨人工骨頭挿入術の年間件数から大腿骨近位部骨折発生件数を推計し,経年的推移を解析した.さらに,2022年度における都道府県別の大腿骨近位部骨折標準化骨折比(年齢階級別人口構成で補正した指標)と,骨粗鬆症検診受診率および人口100万人あたりの骨粗鬆症マネージャー認定者数との関連を,Spearmanの順位相関係数を用いて検討した.

結果:大腿骨近位部骨折の推計発生件数は,対象期間を通じて増加傾向を示した.都道府県別の標準化骨折比と骨粗鬆症検診受診率との間には有意な負の相関が認められた(r=−0.429,p<0.01).一方,人口100万人あたりの骨粗鬆症マネージャー数との間には有意な相関は認められなかった.

結論:NDBオープンデータを用いて推計した大腿骨近位部骨折発生件数は経年的に増加しており,都道府県別の標準化骨折比は骨粗鬆症検診受診率と有意な負の相関を示した.本研究で用いた推計手法は,全国および都道府県別の大腿骨近位部骨折発生状況を簡便に把握できることから,骨折予防施策の効果を評価する指標として有用であると考えられる.