地域在住女性高齢者における骨粗鬆症性椎体骨折の受傷状況とその対応
著者名:加藤貴子、冨永亨、天野麻美、山田紀代美
発行日:2026/8/31
学会誌名:The Journal of Japan Osteoporosis Society
巻・号:Vol.12 No.3
目的:本研究は,地域在住女性高齢者における骨粗鬆症性椎体骨折(osteoporotic vertebral facture:OVF)を経験した高齢者自身の認識と受診判断の過程を質的に明らかにすることを目的とする.
方法:整形外科外来でOVFと診断された60歳以上の地域在住高齢者12例を対象に,受傷状況とその対応についてインタビューを実施した.調査期間は2024年4月~2025年3月であり,質的帰納的分析を行った.
結果:対象者は全員女性で,年齢は71~93歳(平均82.8歳)であった.OVFの状況は,1カ所の骨折または複数カ所の骨折であり,不顕性骨折や未治療の形態骨折があった.OVFの受傷機転は,明確な転倒よりも曖昧な受傷機転が多かった.OVFの症状は,急激な疼痛または体動時痛であり,生活機能の低下がみられ,これらが受診のきっかけにもなっていた.しかし,受診に至る日数には,0~81日と幅があり,受傷直後に受診した者はわずか1例であり,2~10日以内が7例,14日以降が4例であった.中でも,14日以降に受診した者は,受傷機転が曖昧であり,市販の痛み止めの内服や整体へ通うなどの自己判断で自己対処がなされており受診遅延を招いていた.一方,家族による受診へのアドバイスがあった2例は,6日以内に受診をしていた.
結論:本研究より,OVFの早期発見・治療のためには,身体的変化や生活機能の低下を見逃さないことであり,本人および家族を含めた周囲への啓発が重要であることが示唆された.