一次検診に参加した地域在住男性における骨粗鬆症のリスク評価
著者名:伍賀伊織、旭竜馬、浅見正人、丸谷康平、板垣環、木村敏之、堀中晋、中村豊、金井優宜、浅野聡
発行日:2026/8/31
学会誌名:The Journal of Japan Osteoporosis Society
巻・号:Vol.12 No.3
目的:男性の骨粗鬆症は女性より予後が不良とされている.一方で女性の病気という意識もあり,現状は女性に焦点を当てた研究が多い.そこで,本研究は男性の一次・二次検診受診者を対象に骨粗鬆症に関連する要因を検討した.
方法:対象は埼玉県幸手市の骨粗鬆症検診に参加した70歳以上の地域在住男性332名である.一次検診にて身長,体重,橈骨骨密度,身長の低下幅,fracture risk assessment tool(FRAXⓇ),握力,歩行速度,skeletal muscle mass index(SMI),ロコモ25,2ステップテスト,立ち上がりテストを評価した.一次検診で問診と骨密度より正常・要指導・要精検に分け,要精検者には二次検診へ受診勧奨し結果を追跡した.データ欠損がなく二次検診で骨粗鬆症の診断を受けた者を骨粗鬆症群,データ欠損がない正常・要指導および二次検診で骨粗鬆症の診断を受けなかった者を非骨粗鬆症群とした.統計解析は,ベースラインデータの比較,橈骨骨密度・若年成人平均値(YAM)と各種指標の相関分析,骨粗鬆症の有無を従属変数,各測定項目を独立変数として多重ロジスティック回帰分析を行った.さらにROC曲線からAUC,感度,特異度を算出した.
結果:全体の要精検者は60名/332名であり,解析対象は246名(骨粗鬆症群12名)であった.ベースラインデータの比較では,骨粗鬆症群は,身長,橈骨骨密度,YAM,同年代の橈骨骨密度の数値が有意に低く,FRAXⓇ Major Osteoporotic,FRAXⓇ Hip Fractureが有意に高かった.相関分析の結果,橈骨骨密度は身長(r=0.139,p=0.030)および握力(r=0.220,p<0.001)と有意な正の相関を示した.同様に,YAMも身長(r=0.141,p=0.027)および握力(r=0.224,p<0.001)と有意な正の相関を示した.多重ロジスティック回帰分析の結果,FRAXⓇ Major Osteoporotic(オッズ比1.125,95 %信頼区間1.004~1.259)のみが骨粗鬆症と有意に関連した.ROC曲線よりFRAXⓇ Major Osteoporoticのカットオフ値7.25 %(感度91.7 %,特異度69.2 %,AUC 0.706,p=0.016)であった.
結論:FRAXⓇ Major Osteoporoticは二次検診の骨粗鬆症診断と有意に関連し(オッズ比1.125),カットオフ値7.25 %が算出された.問診のみで完結できるFRAXⓇは,一次検診でのスクリーニングツールとして有用である.