理事長挨拶

骨粗鬆症学会の活動

“骨卒中(こつそっちゅう)”をご存じでしょうか。

骨卒中とは、骨粗鬆症を背景に生じる大腿骨近位部骨折や脊椎圧迫骨折などの「脆弱性骨折」を指します。「突然発症し、生活機能や生命予後を著しく悪化させる」という点で脳卒中になぞらえた造語です。「骨折くらいで済んでよかった」と思われがちですが、高齢者の骨折はその後の生活や生命を左右する重大な疾患です。

骨卒中の代表である大腿骨近位部骨折は、わが国で年間約25万件発生しており、その予防は超高齢社会を迎えた日本において、医療・介護・社会保障に関わる喫喫の課題です。治療費や介護費用を含めた社会的負担は年間約1兆円に達すると推計され、2040年には年間30万例を超える可能性があります。

現在、わが国には推定1,600万人以上の骨粗鬆症患者さんがおり、国民の約8人に1人に相当します。骨粗鬆症は、もはや「国民病」と呼ぶべき疾患です。骨卒中を防ぐためには、その根本原因である骨粗鬆症を早期に発見し、適切に予防・治療することが欠かせません。

一般社団法人日本骨粗鬆症学会は、こうした課題に応えるため、医師、看護師、薬剤師、理学療法士・作業療法士、管理栄養士、保健師など、多様な職種・領域の専門家が参画する学術団体として、学際的かつ実践的な活動を進めています。会員数は1万3,000人を超え、その社会的責務はますます大きくなっています。

本学会では、早期発見・診断、適切な治療、骨折予防、生活習慣の改善、社会啓発、専門人材の育成を柱とし、以下の重点活動を推進してまいります。

  1. 1.骨粗鬆症検診と早期診断の推進
  2. 2.二次性骨折予防の促進
  3. 3.運動・栄養改善による骨粗鬆症予防の推進
  4. 4.骨粗鬆症の診断技術の向上
  5. 5.治療法の開発と普及
  6. 6.国内外の関連学会・団体との連携

会員の皆様の知識と経験を結集し、骨卒中をはじめとする骨折予防と骨粗鬆症対策のさらなる発展を目指してまいります。最新の研究成果を臨床や社会に還元し、国民の健康と生活の質の向上に貢献できるよう、学会活動をより一層推進してまいります。

今後とも、皆様のご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

2026年10月
日本骨粗鬆症学会 理事長