日本骨粗鬆症学会理事長
産業医科大学整形外科学 教授 中 村 利 孝

2009年6月に行われた日本骨粗鬆症学会の理事会で推薦を受け,もう2年間理事長を勤めさせていただくことになりました。副理事長の太田博明先生,保険担当理事の白木正孝先生,日本骨粗鬆症学会からのIOFへの代表は杉本利嗣先生,アジア骨粗鬆症連合(AFOS)への代表は楊鴻生先生です。どうかよろしくお願いいたします。
この2年間,皆様のおかげをもちまして本学会は順調な発展を遂げてまいりました。正会員数は平成19年の1,654名から平成20年には1,778名に増加し,賛助会員として49の企業にご参加をいただいております。学術集会では1,000名近くが集まり,「骨の健康」をキーワードとする広範囲な課題について,熱心な議論が展開されています。
学術事業の中心的なプロジェクトは,五つの委員会によって遂行されています。「骨強度評価委員会」と「QUS標準化委員会」は,それぞれ福永仁夫委員長,楊鴻生委員長のもとで活動され,その成果は 「大腿骨近位部BMD測定マニュアル」,「QUSの標準化について」という冊子にまとめられました。西沢良記先生を委員長とする「骨代謝マーカー検討委員会」では,「骨代謝マーカーガイドライン改訂版」の発刊を目指し活発なデータの収集と分析が行われています。会員の皆様からご要望があった「エストロゲンによる骨粗鬆症治療検討委員会」では,太田博明委員長のもとでエストロゲン製剤についての現時点における安全性に関する評価がまとめられ,日本骨粗鬆症学会雑誌「Osteoporosis Japan」には概略を委員会報告として公表する予定です。「骨粗鬆症・骨折・介護予防推進委員会」では,鈴木隆雄委員長のもとコメデイカルの皆様の参加を得て,骨折防止の重要性の啓蒙活動などが検討されています。また,骨代謝学会との共同委員会である「BP製剤関連顎骨壊死検討委員会」では,ポジション・ペーパーが作成され,公表予定です。
臨床支援事業としては,骨粗鬆症の日常診療に直結した課題への取り組みがあります。国民皆保険のもとでは,行政と学会の連携が必須であり,新しい検査法,治療薬などの保険収載促進も学会の活動として位置づけています。昨年は新規骨代謝マーカーとして「TRAP-5b」が日常診療で利用できるようになりました。会員の皆様からご要望が多い,大腿骨BMD測定と腰椎BMD測定との保険点数格差の是正についても,努力してまいりたいと思っております。賛助会員の企業の方々のご意見も取り入れ,エビデンスにもとづいて進めていければ,と思っております。また,骨折防止治療の費用対効果についての実態解明,WHOの骨折リスク評価ツール(FRAX)の日常診療への利用などの課題につきましても,骨粗鬆症財団との協力のもとに進めていきたいと思っています。
本学会の下部組織としてA-TOP研究会があります。骨粗鬆症治療薬の日常診療にもとづいたエビデンスの集積をめざす医師主導型自主研究団体として,会員数は着実に増加しています。アレンドロネートと活性型ビタミンD3の併用効果の検証をめざした「JOINT- 02」,リセドロネートとビタミンK2の併用効果を検証する「JOINT-03」の各プロジェクトは,順調にエントリーが進んでいます。今後は,A-TOP研究会会員の皆様が学術集会へも積極的にご参加いただければと思っています。
以上,学会の活動状況と今後の方向性について,思いつくところを述べさせていただきました。本学会の発展のため,会員の皆様のますますのご支援を,心からお願いいたします。